母のこと
母は、とても美しい女性で、ミス函館にも選ばれたらしい
スタイルもよかった
子供の私に、いつも上等なかわいらしい洋服を着せてくれた
不思議なことに、当時来ていたワンピースやセーターなどの手触りを、今でもかなりはっきり思い出せる
ただ、紺やグレーが上品に見えるとかいって
私の服は、そんな色が多かった
ピンクや赤っぽいのは少なく、フリルやリボンがついたものも少なかった
女学校ではソフトボールのピッチャーで国体にも行き、下級生から人気があり
父と出会った職場でも花だったであろう母は、いつも優等生でいたかったのか
父の栄転で、長崎へ引っ越して、課長婦人としてがんばらなきゃと張り切ったあげくに躁うつ病になった、と父自筆の自伝冊子にある
私はまだ小学校3年くらいだったから、あまり記憶にない
母と父がひとつふとんで重なり合っているのを、自分の部屋との境のふすまを開けて、偶然みてしまったのは、この頃だった
ふたりと目が合った、記憶がある
何か言われた記憶は、ない