父の血 その7
海外に住むようになって、里帰りすることがあると
父は、私のスケジュールを勝手に仕切った
里帰りの飛行機代は、私が自分で払っているのに、私は自分のスケジュールを自分の好きなように組めない
滞在中の私の食事予定を、朝、昼、晩、毎日、勝手に決めた
朝食は父の家で○○を食べる
昼は、xxでラーメン
夜は、△△で鮨
という具合に、私が帰国する数週間前から、すでに事前に細かく決めて、メールしてくる
私の予定や都合を一切聞きもせずにだ
私にだって、会って食事をしたい友達がいて
ひとりで行きたい場所がある
ということが、まったく父の念頭にはない
それに文句を言うと、激昂する
前にも書いたが、父にとっての最大のもてなしは「旨いモノを食わせる」ということだ
確かに美味しいものは食べさせてくれた
本人も食べたいんだろうから、父にとっては一石二鳥だ
だが、行動の自由を奪われてまで食べる旨いモノは、私にとっては時に砂を嚙むようなものだった
いつまでたっても、こうして私の行動をコントロールしようとする父が、たまらなく嫌だった
あまりにも、息苦しい
こういうパターンの帰国が、いったい何度続いただろう
自分で宿泊場所を探して支払うほどの余裕は私にはなかった
帰国の際は、父のところか、近くに住む妹のところに泊まらせてもらっていた
帰国することそのものが、だんだん嫌になってきた