根無し草
ずっと自分のことを「根無し草」だと感じていた
母とも父とも心のつながりが感じられず
近くにいてくれる祖母になつくと母を裏切るようで、ほんとうにはなつけなかった
妹が生まれても、10歳も年下だから、姉妹で遊ぶ、というよりも
私が小さな妹の面倒をみる、第二の母のような気持ちでいた
そんな家庭環境なのに、住む場所も3年ごとに変わる
住む家が変わり、自分の部屋も変わる
学校も変わり、先生も変わり、友達も変わる
その土地に、根っこをはやしている暇なんてなかった
仮に、根っこが生え始めたとしても・・・またすぐ引っこ抜かないといけない
仲良しの友達といえる同級生ができたのは
中学校2年生になって初めてだった
あのクラスは、あの時の同級生は、私にとっては奇跡のような存在だ
その後に引っ越して、半年足らず通った次の中学校はもちろん
都立高校でも、女子大でも仲良しの友達はできなかった
みんなほとんどうわべだけ
今でも連絡を取っている人は、誰もいない
会社員になって、15年働いても、会社以外でも仲良くする人は、ほとんどいなかった
今こうして、海外に住むようになり、短い帰省中に会いたいと思う人が
私の友達である
海外に住むようになり、父親の言動による影響から、物理的にも心理的にも距離を置けるようになって初めて
友達と呼べる人たちに、少しずつ出会うようになった