おばあちゃんっ子
私は、子供の頃から、自分はおばあちゃんっ子だと思っていた
ものごころついた頃から、そばにいたのは母ではなく、もっぱら祖母
幼稚園にあがる前に、朝目覚めた時に横に座っていたのは、祖母
私をおんぶして子守りしてくれたのも、祖母
寝る前にお話しをしてくれたのも、祖母
梅酒でかき氷を作ってくれたのも、祖母
手編みのセーターを作ってくれたり、ほどいて編みなおしてくれたのも、祖母
ゆかたを縫ってくれたのも、祖母
新聞に入ってきたチラシを見ながら「このページのどの服が好き?」って遊んだもの、祖母
エビオスや養命酒を飲んだり、せんぶりという薬草から煎じた苦いお茶を飲む姿を見たのも、祖母
門限に遅れて帰ってきた私のために、玄関の鍵を開けてくれたのも、祖母
だから、私は自分をおばあちゃんっ子だと思ってきた
よその人にも「おばあちゃんっ子だから、優しいのよね」なんて言われたこともある
もう50代になってから、父にそんな話をしたら
「おばあちゃんっ子だったのは、△△子(妹)のほうだろう」
と当たり前のように言われて、頭をガーンと殴られたような気がした
えっ?それじゃあ、私は誰の子なのよ?
ママっ子でも、パパっ子でもないよ
私は誰の子でもない、と言われたような気がして、絶望的に悲しくなった